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(完全版)世界史の明が5分で分かる(誰でも簡単) 

 

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 皆さんこんにちはルリアゲハです。世界史で中国史を勉強していると出てくる明という王朝。


f:id:ruriageha:20210227072614j:plain「どんな王朝だったっけ?」

という感じで記憶にない方もいるかもしれません。

 そんなあなたに質問です。明はどんな政治体制で、どんな流れでしたか?

思い出せないという人も大丈夫です。

 この記事を読めば

  • 明の成立から滅亡までの流れ
  • 政治の特徴
  • 最盛期の永楽帝
  • 明のピンチ 北虜南倭について
  • なぜ明は滅亡したのか

 について分かります。

 明王朝とは

 明王朝は 元王朝の次に中国を支配する王朝です紅巾の乱で頭角を現した朱元璋によって建国されます。ちなみに紅巾の乱というのは、元朝末期に起こった乱ですね。

 明王朝は

  • 漢民族の王朝
  • 管理的な統治

でした。なので、明王朝はモンゴル人の王朝、や自由な統治をした漢民族の王朝、とは全く毛色の違う王朝ですね。

 ちなみに、明の都は最初は南京永楽帝以降は北京です。

 洪武帝の管理的な統治

 明を建国した朱元璋洪武帝として即位します。なので、

洪武帝=朱元璋

ですね。

 洪武帝は元々貧しい農民でした。だから貧しい人々にも優しい統治をしたのかと思いきや…実際は真逆だったのです。そう、彼の統治は超管理的でした

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具体的には

  • 中書省を廃止し、六部を皇帝の直属に
  • 租税台帳(賦役黄冊)と土地台帳(魚鱗図冊)を作る
  • 民間貿易を禁止(海禁
  • 里甲制で農民をまとめる
  • 農民に六諭を唱えさせる
  • 一世一元の制(一人の皇帝の治世には一つの元号)

という感じです。一つずつ詳しく見ていきましょう。

中書省を廃止し、六部を皇帝の直属に

 一つ目の政策は中書省を廃止して、六部(りくぶ)を皇帝の直属にすることです。

 中書省というのは皇帝の命令を作る所で、六部は上からの命令に従って、仕事をする役所ですね。なので、皇帝が直接指示しなくても仕事をしてくれました。

 しかし、洪武帝は代わりに命令を作ってくれる中書省を廃止し、自分で指示することにします。自分で、六部に命令して仕事をさせるので、

六部=皇帝直属

になったのです。自分で直接指示するようになったので、皇帝の自由になりましたが、皇帝の仕事は増えました。大変ですね。

租税台帳(賦役黄冊)土地台帳(魚鱗図冊)を作る

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 二つ目の政策は租税台帳と土地台帳を作ったことです。租税台帳の名前は賦役黄冊(ふえきこうさつ)で、土地台帳の名前は魚鱗図冊(ぎょりんずさつ)といいます。全国の膨大な数の農民を管理するために作られました。

民間貿易を禁止

 さらに、洪武帝は民間貿易を禁止(=海禁)します。

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なぜ海禁をしたのでしょうか?理由は国の貿易である朝貢貿易を独占して行うためです。

 朝貢貿易というのは何なのか?と思ったかもしれません。朝貢貿易というのは周辺諸国が貢物を持ってきて、中国は貢物の返礼品を渡すという形の貿易です。簡単に言うと、貿易をするときに

中国>周辺諸国

という上下関係がありました。

 どんな国と朝貢貿易をしていたのかというと

  • 朝鮮
  • 日本
  • 琉球
  • マラッカ王国
  • 黎朝(ベトナム)

 などです。

里甲制と六諭 

 さらに、里甲制と六諭で末端の農民まで統治しました。

 

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f:id:ruriageha:20210227072614j:plain「里甲制や六諭って何のこと?」

と思ったかもしれません。簡単に説明すると、里甲制は110家族で一つのグループとして税を集めさせたり、治安維持をする仕組みです。

 一方、六諭は儒教を分かりやすくした6つのスローガンで農民を統治する仕組みです。

 例えば、目上の人は敬おう、父母を大事にしようという感じですね。六諭をみんなで唱えさせて、国に反抗しないようにしたのです。教育と洗脳は紙一重なものですね。

最盛期 永楽帝

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  明の最盛期は永楽帝の治世です。ちなみに、永楽帝が即位するまでには一波乱ありました。どんな波乱だったのでしょうか?

 波乱というのは、燕王(後の永楽帝)が、皇帝に対してクーデターを起こしたこと靖難の役)です。靖難の役(せいなんのえき)では2代目皇帝、建文帝を倒すために燕王は挙兵します。結果、クーデターは成功し、燕王は永楽帝として即位しました。

 永楽帝は

  • 南京から北京に遷都
  • 皇帝の居城、紫禁城を造営
  • 内閣大学士の設置
  • 5回にわたるモンゴル遠征
  • 鄭和の大航海を命じる

などを行います。それでは、内閣大学士と鄭和の大航海について詳しく見ていきましょう。

 内閣大学士というのは、皇帝の補佐役です。以前の中書省に代わって、皇帝の命令を出すのを手伝いました。

 鄭和の大航海は、イスラーム教徒で宦官の鄭和(ていわ)に南海遠征を命じたことです。

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 なぜ、永楽帝は南海遠征を命じたのでしょう?答えは南海諸国(東南アジアやインド、アフリカのマリンディなど)に朝貢貿易を促すためです。明の偉大さをアピールするために、

  • 数十隻の船
  • 数万人の乗組員

から成る大艦隊で、5回も遠征しました。

 要するに、


f:id:ruriageha:20210227074512j:plain「俺たちの国は強いぞ!だから早く貢ぎ物を持ってきた方が良いぞ!」

とアピールしたということですね。

明のピンチ 北虜南倭

 永楽帝の死後、明はあるピンチに悩まされていました。どんなピンチなのでしょうか?

もちろん北虜南倭ですね。北虜南倭というのは北からはモンゴル系民族が攻めてきて、南では倭寇という海賊が密貿易や略奪をするという状態です。

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北のピンチ モンゴル系民族の侵入

 まずは、北でのモンゴル系民族の侵入から見ていきましょう。モンゴル系の民族にはオイラトタタールという民族がいました。そのオイラトが、明の皇帝、正統帝を捕虜にする事件土木の変)が起きます。

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 ちなみに、~の役とか~の変、~の乱とかややこしいですが、ちゃんと違いがあります。

変は戦いを仕掛けた側が勝った時で、役は戦いという意味で、乱は戦いを仕掛けた側が負けた時に使われます。なので、オイラトが戦いを仕掛けて皇帝を捕虜にした(=勝った)ので、

土木の”変”です。

 結局正統帝は帰って来られたのですが、北方の防御を固める必要がありました。そのために、明は万里の長城を改修していきます。

 南のピンチ 倭寇 

  南の沿岸では倭寇が密貿易や略奪を繰り返していました。明では民間貿易は禁止されていましたよね。なので、”密貿易”です。

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 密貿易をした例として、種子島の鉄砲伝来が挙げられます。鉄砲を日本に伝えたのはポルトガル人ですよね。しかし、そのポルトガル人は中国(明)の民間船に乗っていたのです。

 密貿易をしていた倭寇はついに南京まで、迫ってきました。明は倭寇を何とかするために、海禁を緩和します

明の滅亡

  14代皇帝の万歴帝の時代になると明はどんどん衰退します。衰退した要因の一つは、万歴帝は政治を全然しなかったことです。

 最初のころには張居正(ちょうきょせい)とともに一条鞭法(いちじょうべんぽう)という税制を実施します。

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一条鞭法というのは、税を銀で治めさせるようにした税制です。貿易で銀が広く流通するようになったので、行われました。

  一条鞭法についてもっと詳しく知りたい人は(世界史)違いが説明できる 一条鞭法と地丁銀制(中国史) がおすすめです。

 万歴帝が政治をしなくなって、多くの危機が訪れました。例えば、

  • たび重なる戦争で財政難になる
  • 官僚と宦官の対立
  • 民衆への重税
  • 飢饉

です。

 こうした危機で、多くの反乱が起きました。特に大規模なのが、李自成の乱です。乱の中心となった李自成はついに北京を占領します。そして、明は滅亡しました

 

まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回は世界史で勉強する中国の王朝、明について解説しました。

 内容をまとめると

  • 明は朱元璋が建国した
  • 洪武帝として即位した朱元璋は管理的な統治をする
  • 最盛期は3代目皇帝の永楽帝
  • 北虜南倭は北から異民族、南から倭寇
  • 万歴帝は張居正とともに一条鞭法を実施
  • 最終的に李自成の乱がきっかけで明は滅亡

という感じです。

 今回の内容をしっかり押さえて、テストで高得点を取り、自由で独立した未来を掴んでくださいね。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。